イングランドは1066年ノルマンディー公ギヨーム2世によって征服されました。教科書的に言えば、ウイリアム1世によるノルマン王朝が開かれるコンクエストです。しかし、実態はイングランド南部を支配していたアングロサクソン族のハロルド2世が、フランス北部のノルマンディーを支配していたノルマン族のギョーム2世に、イギリスのヘイスティングズの戦いで敗れたというわけです。なお、ギヨームはフランス語読みで、英語ではウイリアムになります。先回お話したジャン王のジャンは仏語で、英語にするとジョンです。おそらくは、ギョーム2世は本拠を依然としてノルマンディーに置き、イングランドの支配はノルマンディー出身のフランス語を話す貴族たちで行われていたでしょう。従って、当時のイングランドの公用語はフランス語です。さて、ノルマンディーは、フランス北部で寒いため、ブドウを生産できませんでした。しかし、リンゴは豊富でした。当時のイングランドでは、フランス語を話しながら、リンゴ酒を飲んでいたでしょう。