酒店日記

仮設店舗で仮営業する中野酒店3代目の中野正雄さん。火災時のすすの跡が残った台車を今でも使っている=北九州市小倉北区で2023年4月6日、宮城裕也撮影
仮設店舗で仮営業する中野酒店3代目の中野正雄さん。火災時のすすの跡が残った台車を今でも使っている=北九州市小倉北区で2023年4月6日、宮城裕也撮影
 北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場一帯で42店舗が焼損した1度目の大規模火災から19日で1年。店舗兼住宅が全焼した「中野酒店」は市場の一角で90年近く営業を続けてきた。店の再建計画は8月に起きた2度目の大規模火災の影響で大幅に遅れ、元の場所での営業再開にはあと1年かかる見通しだ。「また元の売り上げに戻るだろうか」。3代目店主、中野正雄さん(67)の不安は消えない。

この1年、『あと何日続けていけるのだろう』ということばかり考えていた」

市場から約400メートル離れた小倉北区紺屋町の仮設店舗で仮営業している中野さんは、倉庫の棚に並んだわずかな在庫を見つめながらつぶやいた。現在は受注が専門で、得意先への配達のためにシャッターを閉めていることも多く、店の存在に気づかない人もいる。

中野酒店は1922(大正11)年に創業し、36(昭和11)年に旦過市場に移転。2022年は創業100年の節目でもあった。

2022年4月の大規模火災で焼損した中野酒店=中野酒店提供
2022年4月の大規模火災で焼損した中野酒店=中野酒店提供
 4月19日未明、5階建て店舗兼住宅の3階で寝ていた中野さんは、妻に起こされて火災に気付いた。外を見ると近くの建物の屋根から炎が噴き上がり、電線を伝って火の手が迫っていた。着の身着のままで外に逃げだしたが、店が燃えていく様子をぼうぜんと見つめるしかなかった。

更新日時 : 2023年04月20日
カテゴリ : いろいろ

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