1485年、シェークスピアが極悪非道と言ったリチャード3世をボズワースの戦いでヘンリー7世が打ち破り、紅薔薇のランカスター家が白薔薇のヨーク家の娘を妃に迎えるという形で薔薇戦争は終結しました。チューダー王朝の開始です。このヘンリー7世に、いち早く馳せ参じた国民義勇軍的存在の独立自営農民の集団、すなわちヨーマン・ウォーダーズ別名ビーフィーターがありました。ビーフィーターは18世紀半ごろまで親衛隊的に英国国王とその財産を守っていました。さらにロンドン塔に収監されている重要囚人を監視する大役まで任されるようになりました。、国王の護衛に当たる“ヨーマン”がヨーマン・オブ・ザ・ガードであり、ロンドン塔の看守が“ヨーマン・ウォーダーズ”です。その後はいずれも退役軍人組織に改編され、ロンドン塔が観光名所となった現在ではヨーマン・ウォーダーズは名誉職として主に観光ガイドなどの仕事をこなしています。ビーフィーターはロンドン塔の衛兵です。さて、ビーフィーター社創立者のジェームズ・バローは、その芳醇で力強い風味を持つ製品の名称に、屈強なことで知られたビーフィーターの名を採用して、ロンドン・ドライ・ジン、ビーフィーター・ジンを造りました。トウモロコシと大麦から蒸溜した蒸留酒をベースにして、ジュニパー・ベリーやコリアンダーなどで風味付けされています。成分の浸透のためにアルコール度数は最低40%以上です。1820年に初めて発売された時からそのレシピは変えられていません。
更新日時 : 2018年10月19日
カテゴリ : 世界のお酒