今を去る千有余年前、土佐国司の任を終えた紀貫之は帰洛の途上、蒼海と松原に舞う鶴の一群を眺め、次の歌を詠みました。
見渡せば 松のうれごと 棲む鶴は 千代のどちとぞ おもふべらなる (見渡すと、松のこずえごとに住む鶴は、それらの松を千年の友と思っているようだ)
歌人貫之は土佐国で愛娘を亡くしていました。その思いが土佐への慕情をたっぷり生み出しました。
この歌の吉兆鶴にちなむのが土佐鶴の酒銘です。土佐鶴酒造は全国新酒鑑評会で全国最多42回金賞受賞をしており味には定評のあるところですが、今回ご紹介したいお酒は定番土佐鶴本醸辛口です。醸造アルコールを加え本醸造仕立てです。従って冷やでも普通の温度でも美味しいのですが、45度から50度に燗を付けるとふっくらとした暖かさが増し、今のように寒い時期は最高です。日本酒度は+は辛さ-は甘さを示しますが、+10で相当に辛口です。また酸度は1.4ですから淡麗に仕上がっていますが、アルコールが15度以上16未満と通常の15度前後よりも少し高めですので意外とコクも感ぜられます。土佐風の鰹のタタキだと相性も抜群でしょうが、和風料理一般なんでもOK。一度お楽しみ下さい。ファンになること請け合いです。
更新日時 : 2015年12月29日
カテゴリ : 日本のお酒