2018年03月の酒店日記

スコットランド西岸沖のアイラ島にボウモア蒸溜所はあります。1779年創業というスコッチのモルト蒸溜所のなかでも古い歴史を誇り、ほとんどの蒸溜所が自前での工程を手放したピート採掘や大麦のフロアモルティングなどの伝統製法を職人たちが頑に継承しています。それはスコッチのモルトウイスキーづくりの大いなる遺産です。ボウモアモルトは、いつも海風に抱かれています。ピートも製麦工程も潮風の影響を受け、しかも第1貯蔵庫はダイレクトに海に面し、海抜0メートルに位置します。凪いだ日も嵐の日も、海という自然環境と対話しながらモルトウイスキーは熟成していく、まさに海のシングルモルトです。歴史を積み重ねた本格感、そして潮の香と甘美な気品を抱いた他のシングルモルトにはない孤高ともいえるこの香味特性は、こうしたボウモア蒸溜所の特異な立地と伝統が育んだものです。さあ、海のシングルモルトボウモアがスコッチ業界に誇る大いなる遺産とクラフトマンシップをたっぷりとご堪能いただきましょう。今回紹介のボウモア12年はドライなスモーキー感と柔らかなフルーティー感の調和が見事です。飲みやすさのなかに、個性的な潮の香が感じられるボウモアを代表する逸品と言えましょう。アイラ島東海岸のラフロイグのようなピート臭はあまり感じず、日本人好みのモルトスコッチです。

 

 

更新日時 : 2018年03月09日
カテゴリ : 世界のお酒

南薩摩の錦江湾と桜島を望む海岸沿いにある宮ヶ浜は、明治の頃から焼酎造りを続けいている大山甚七商店のふるさとです。そこで造られる薩摩芋焼酎宮ヶ浜は、代々受け継がれてきた技と和甕(わがめ)、そして焼酎の原点である黒麹と新鮮で良質な南薩摩産さつま芋(黄金千貫)で丁寧に仕込みました。和甕ならではの豊かな香りと味わいを楽しめます。ところで、この大山甚七商店は呉服と布団(カクイわた)などを取り扱う傍ら、富久泉という銘柄の芋焼酎の製造販売を行っていました。それが、明治八年、芋焼酎の蔵元として創業した大山甚七商店です。ラベルをみれば、呉服店のセンスが溢れていることがおわかりになると思います。今は、スペースシャトル・エンデバー号の最終フライトに積み込まれた酵母と麹菌が、国際宇宙ステーションにおいて約16日間の宇宙滞在を経験し、無事NASAケネディ宇宙センターに帰還しました。その「宇宙酵母」と「宇宙麹菌」は「鹿児島宇宙ミッション実行委員会」参加蔵へと頒布される予定となっていますが、大山甚七商店は其の参加蔵です。これからどのような焼酎が生まれるのか分かりませんが、新しい挑戦をしています。宮ヶ浜は、この大山甚七商店の鹿児島限定商品です。

更新日時 : 2018年03月03日
カテゴリ : 日本のお酒

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