日本酒度の+数値が大きくなれば段々辛く、-数値が大きくなると段々甘くなるはずですが、酸度が増すと辛さ甘さが段々緩和されます。従って+18や-18であっても酸度を増せばそんなに辛くも甘くもなくなります。それにアルコール度数が加わるとコクが加わります。さらに、製法によって微妙な味わいが色付けされます。醸造酒は生き物ですから、完全に一定ということはありえず、杜氏さんはその舌と感覚で、平均値を飲み手に喜ばれる作品にしようと日夜励んでいます。さて、大分県国東(くにさき)半島・宇佐地域は世界農業遺産に認定されていますが、その国東にある萱島酒造2代目米三郎は、明治20年代に西は西日本、関は大関(当時は最高位、今の横綱)の意味で西日本の代表酒になりたいと西の関と命名しました。その後、中村千代吉、息子繁雄、そして河野日出男、平野繁昭の名杜氏の集積が西の関手造り純米酒です。国東六郷の山々に湧き出る名水と豊穣の地で育つ美味しい八反錦とヒノヒカリというお米を原料に、代々受け継がれる職人の技で丁寧に仕込まれています。日本酒度-1.5、酸度1.4と中口ながらやや甘めと言えましょう。まろやかな膨らみを持つ、米本来の芳醇タイプのお酒です。ひや、あるいはぬる燗でお召し上がりください。
更新日時 : 2016年02月24日
カテゴリ : 日本のお酒