1609年に奄美の島々は薩摩の直轄地になりますが、その14年後に焼酎の貢納を命じる文書が残っているそうです。しかし、黒糖は薩摩藩の専売で、庶民は扱えませんでした。明治時代になると泡盛の製法が沖縄から奄美に伝えられました。そして、第2次世界大戦後の米軍統治下では、不足する米の替わりに黒糖を溶かし入れるようになり、現在に至る黒糖焼酎が完成しました。昭和28年12月、奄美群島が日本に復帰するときに、酒税法の特例通達で黒糖を使っての製造が、奄美群島に限り認められました。サトウキビを生成した黒糖を主原料にした黒糖焼酎は、奄美の島人から「稀の酒」と称されています。さて、奄美大島の町田酒造は、黒糖焼酎で初めて減圧蒸留によって里の曙を生産しました。すべての工程をコンピュータ制御して品質を安定させ、減圧蒸留によりクセのある匂いや雑味を取り除いて、飲みやすくマイルドな風味に仕上がっているのが里の曙です。独特の甘い香りを漂わせながらも、蒸留酒であるため糖分は全くゼロ。糖分や脂肪を含みませんので二日酔いもなく、快い酔い覚めをも約束してくれます。原料の黒糖はビタミンやミネラルを豊富に含むアルカリ性健康食品でもあります。亜熱帯の野性味と類稀なる奄美の文化が溶け合って、美酒に昇華した里の曙の一杯で、至福のひとときが始まります。
更新日時 : 2016年04月03日
カテゴリ : 日本のお酒