岩国(山口県)の領主吉川氏は代々岩国城と城下町をつなぐ橋が、錦川の洪水により流失することが悩みの種でした。3代目藩主吉川広嘉は錦川の川幅が200メートルもあるため、それに耐えうる堅固な橋づくりを模索しました。明の帰化僧である独立性易から、杭州の西湖には島づたいに架けられた6連のアーチ橋があることを知りました。そこで、アーチ間の橋台を石垣で強固にすることで、洪水に耐えられるという基本構想に至りました。延宝元年(1673年)、児玉九郎右衛門の設計により5連のアーチ橋の錦帯橋が完成しました。それ以来、「山は富士、滝は那智、橋は錦帯橋」とうたわれている芸術的建造物が錦帯橋です。明治4年(1871年)錦川の伏流軟水に恵まれたこの地に、五連の反り橋錦帯橋の優美さを願い、心と心の懸け橋にとの思いを込めて、五橋が蔵を構えました。五橋純米酒は、五橋契約栽培の山田錦と錦川伏流軟水(硬度100以下が軟水のところ1.5ですから超軟水と言えます)を原料にしていますので、薫り高く細かな酒質になっています。山口県出身の大津杜氏が山口県の気候風土をもとに造る、米と水と人が三位一体になったお酒でもあります。五橋純米酒は、ふっくらとした甘みと若干の落ち着きを与える酸味がバランスよく調和しています。また、なめらかで柔らかな旨みが余韻に残ります。派手なお酒ではありませんが、大変やすらぐ、いつも飲みたいお酒と言えましょう。
更新日時 : 2016年04月09日
カテゴリ : 日本のお酒