鹿児島県北部の伊佐地方は中央を県下最大の川内川(センダイガワ)が流れ、東方に霧島連峰を望む霧深い水郷の盆地です。昼夜の温度差が大きい内陸性の気候は、焼酎つくりに最適な環境です。そのため伊佐地方には、昔から焼酎の蔵元が多く、焼酎の古里として親しまれてきました。伊佐の名を冠した代表的な焼酎は、「伊佐錦」(大口酒造),「伊佐美」(甲斐商店),「伊佐大泉」(大山酒造)があります。さて、今日は明治38年創業の大山酒造の伊佐大泉をご紹介します。美味しい焼酎は、よい麹があってこそです。大山酒造は、機械化により手間のかからない麹つくりができるようになった昨今も、麹室で麹蓋を用いて、昔ながらの手間暇かけた手作業で丁寧に白麹を造り、その白麹が焼酎の元となっています。仕込みでは、米麹と主原料の芋の割合を通常より芋を多くすることで、芋の風味を引き出し風味豊かな焼酎とすることを心がけています。伊佐大泉の「伊佐」は地名を「大泉」は尽きることのない美しい泉をイメージして名付けられました。大山酒造は、今では数少ない「一蔵一銘柄」の小さな木造り蔵です。2013年全国酒類コンクールの全焼酎部門で特賞1位に選ばれた、知る人ぞ知る銘品です。
更新日時 : 2016年05月20日
カテゴリ : 日本のお酒