生酒らしい華やかな香りと味わいで、日本酒度5度酸度1.2ですから典型的な淡麗辛口です。出羽桜酒造は、火入れつまり加熱処理をして火落菌などの雑菌を抑えた桜花吟醸酒と、全く加熱処理せず本来の香りと味わいを重視する本生の桜花吟醸酒を生産していますが、今回ご紹介するのは後者の本生です。本生は加熱処理をしていませんので、要冷蔵、お早めにお飲みください。要冷蔵は面倒ですが、一度飲まれるとその華やかさの虜になるでしょう。
文政6年(1823年)現在の石川県白山市で、手取川水系の水を利用し、多くの水車を回して精米したことを語源とする車多酒造が創業しました。天狗舞山廃仕込純米酒は、ロンドン2011IWC純米酒部門で最高賞を獲得しています。現在機械化が進み麹の酵素が白米に吸収されるのが簡単になりましたが、車多酒造は、蒸した米、麹、水を混ぜ粥状になるまですりつぶす山廃仕込みを続けています。そのため、山廃仕込み特有の濃厚な香味と酸味の調和のとれた個性豊かな純米酒となりました。
「天狗舞」 日本酒ならば何でも美味いと思う私でも、この純米吟醸酒には、シャンパンの最上品よりも脱帽したい気分になる。そして、私は訪れたことはなくても、石川県の白山の奥にはほんとうに天狗がいて、コワイ天狗もこの酒を飲むと舞い始めるのだと、その様子まで見えるような想いになる。季節ならば、いつなのだろう。積もった雪が白く輝やく、冬の夜だろうか。だから、死んでも「てんぐまい」になんて、改めてくれるなと思う。
以上は、漢字の美しさについて書かれた塩野七生女史のエッセイの一部です。天狗舞飲みたいな!
更新日時 : 2016年05月31日
カテゴリ : 日本のお酒
伊勢志摩サミット一番乗りは、カナダのイケメン首相トルドー夫妻でした。カナダを冠にしているウイスキーのお話をしましょう。1816年米国マサチューセッツ州にハイラム・ウォーカーは生まれました。9歳で父親を亡くし、20歳の時ボストンの食料品店で見習いを始めました。1838年デトロイトで自分の食料品店をオープンし、穀物商にもなりました。さて、この時代米国では、酒類の販売はドラッグストアのみの専売で、食料品店は販売できませんでした。さらに段々禁酒法運動が力を増していました。そこでハイラムは、1856年デトロイト対岸のカナダの土地を購入し、蒸留所を建て、ウイスキー業界に名乗りをあげました。さて、ハイラムのウイスキーは、当時のアメリカ紳士の社交場であった各地のジェントルメンズ・クラブで好評を博し始めたので、クラブ・ウイスキーと最初にブランド名を付けました。ところが、クラブ・ウイスキーの人気急騰に脅威を感じたアメリカ・ケンタッキー州のバーボン業者は、ロビー活動を実施、カナダ産ウイスキーとアメリカ産ウイスキーを区別するよう政府に求めました。そのため、1890年カナディアンクラブと言うウイスキーが生まれました。ところで、消費者にとっては、名前がカナディアンとなろうが、カナダの長い冬に育てられたスッキリした味わいに魅了され、CCの愛称で世界中で愛されるカナディアンウイスキーになりました。
更新日時 : 2016年05月27日
カテゴリ : 世界のお酒